【開発】認定事例vol.9―中小規模酪農家、繋ぎ飼い飼養向け 新規小型餌寄せロボットの開発・供給―
開発供給実施計画の認定事例
リックス株式会社(福岡県福岡市)
リックス株式会社は、1964年に山田商事株式会社として設立し、現在は福岡県福岡市博多区に本社を置くメーカー商社です。長年、製造業の課題解決を行う製品の開発・販売を行ってきました。
今回、私たちは、メーカーとして、産業用ロボット開発で培った工場内の柵位置推定の技術を活用した自律走行型の餌寄せロボットを開発し、酪農家の皆様に広くお届けすることを目指し、開発供給実施計画の認定を取得しました。
※開発供給実施計画の詳細については、3月のスマ農トピック②をご参照ください。
Q1.計画認定を受けて開発を行うスマート農業技術について教えてください。
私たちは、独自の柵位置推定アルゴリズムを用いた自律走行制御技術を活用して国産の小型餌寄せロボットの開発を行います。
まずセンサが柵を読み取り、内部アルゴリズムで柵位置を推定します。推定した柵の位置に合わせてロボットの走行経路を設定し自律走行します。これにより、従来の餌寄せロボットで懸念されていた磁気誘導設備の工事が不要となります。
特徴をまとめると次のとおりです。
① 独自の柵位置推定技術により、導入前の工事の手間を最大限削減
② 国内の狭小通路でも採用できる小型ロボット
③ 段差や濡れた路面でも安定した走行を実現するクローラー走行(※)
(※)タイヤではなく、ゴムクローラー・キャタピラで走る方式

試作版の餌寄せロボットの外観
Q2.開発供給実施計画の認定を受けようと思ったきっかけをお聞かせください。
日本の酪農現場では、人手不足が課題となっています。その課題解決に向けて、搾乳ロボットや自動給餌機などの機械化が進む一方、牛の餌を掃き寄せる「餌寄せ作業」をはじめ、手作業に頼る工程が多く残されています。
餌寄せ作業は牛1頭当たり年間約3時間、標準的な60頭規模の牛舎では年間最大180時間もの労働時間が費やされています。1回の作業時間は短いものの毎日複数回行う作業のため、持続可能な酪農現場の実現に向けて現場からの技術開発のニーズも大きいです。

慣行作業と餌寄せロボット導入後の効果の比較図
私たちは、これまで産業用自律走行ロボットの開発を行ってきました。そこで培ってきた走行制御のノウハウを活かして独自の柵位置推定アルゴリズムを構築し、本課題を解決する餌寄せロボットの開発を行っています。本取り組みが開発供給実施計画の趣旨に合致した事業であるとともに、実用化に向けた検証と開発を一層加速させるため、開発供給実施計画の認定について申請を行いました。
Q3.今後の展望をお聞かせください。
現在、設立したコンソーシアムに参画いただいた研究機関と協力しながら開発・実証を進めております。実用化に向けて、より多くの実需者のニーズを把握し、開発に反映していくことが重要だと考えております。今後は展示会への出展や牛舎での調査を重ねて、「導入したい」と思っていただける製品を一日でも早く開発し、酪農家の皆様の課題解決に寄与したいと考えます。

農研機構で実証を行った際の様子