第3回畑作プラットフォームを開催しました―経営戦略としての土壌データの活用と、スマート農業技術―
2026年6月15日(月)、スマート農業イノベーション推進会議「第3回 畑作プラットフォーム」がオンラインで開催されました。今回は、これまでのプラットフォームにおいて参加者からデータ活用の重要性が指摘されていたことから、土作りにおける土壌分析・データ分析のメリット、関連する技術開発・普及に向けた現状や課題について意見交換が行われました。
本プラットフォームでは、実際の農業生産現場における土壌分析データの活用事例を通じて、データ利活用および、スマート農業技術の活用意義を整理するとともに、今後の普及・定着に向け取り組むべき課題を議論しました。
土壌分析を起点としたデータ駆動型農業による生産基盤の強化
畑作の生産現場において、土壌分析結果(物理性・化学性・生物性)と、衛星画像等の地理情報を組み合わせた圃場ごとの土壌特性の可視化や、土壌分析データを基にした可変施肥等の事例が紹介されました。
これらを把握し、それぞれの圃場に応じた施肥・生育管理を行うことは、収量や品質の安定化に向けた基礎的な取組の一つであると紹介されました。また、施肥・生育管理の効果を継続的に検証しながら、栽培管理のみならず、品種選定から販売戦略までを含めた経営戦略を組み立てていくことが、中長期的な生産性向上・経営安定につながるとの認識が示されました。
一方で、有効なデータ活用のためには植物に対する生物学的な知見が不可欠である、との認識も示されました。
生産現場の課題に応じたデータ活用の在り方
データ活用にあたっては、単にデータを幅広く集めるのではなく、経営規模、地域条件、作物特性、栽培体系等に応じて、必要なデータを見極めて収集・活用することが重要であるとの指摘がありました。特に、現場が抱える課題を明確にした上で、それを解決するために必要なデータを活用することの大切さが共有されました。
AIの有効活用
AIをはじめとするデジタル技術の活用についても意見交換が行われました。参加者からは、生育予測、施肥設計、その他栽培管理において、人手では整理しきれない多様かつ膨大な情報処理を、AIを利用して整理・計算することや、農業者の作業を分析し、他の農業者の技術向上につなげるなど、データ活用の可能性が示されました。
スマート農業技術の普及・定着に向けて
スマート農業技術の導入に当たっては、現場の実情に即した使いやすさや、導入・運用コストの抑制の検討が不可欠であるとの意見がありました。今後は、高額・高機能な専用機器の導入のみならず、既存機器や安価なセンサーの取り付けなど、農業者が導入・実装しやすい形での技術普及も重要であるとの考えが共有されました。
また、その普及には、農業者が現場で必要とする用途や課題を明確にし、そのニーズをメーカー側と積極的に共有することで、メーカー側が事業化の可能性を見出しやすくすることも重要であるとの指摘がありました。その上で、スマート農業技術の普及そのものを目的とするのではなく、日本の食料生産を持続的に守るために、土づくりを基盤としながら、少人数でも安定した生産が可能な仕組みを今後も検討していく必要があるとの認識が共有されました。
まとめ
第3回畑作プラットフォームでは、土壌分析を基にしたデータ駆動型農業の重要性や、今後のスマート農業技術の普及に向けて取り組むべき課題について議論が行われました。
土づくりは、畑作を含め農業の基盤となるものです。土壌を最適な状態にするため、土壌特性を正確に把握し、適切な施肥管理をしていくことが重要であり、そのためには、スマート農業技術の活用が必要不可欠です。加えて、AIを活用することで、分析・予測・計画・管理能力を一層向上できる可能性が示されました。
今回の議論を通して、土壌分析やデータ活用の観点から、それぞれの農業経営における課題を明確にして、スマート農業技術の活用が進むことを期待しております。
その他、議論された内容の詳細についてはこちらをご覧ください。
※IPCSAプラットフォームでは、今後もこうした対話の場を通じて、皆様に新たな気づきや成長のきっかけを提供できる活動を展開し、スマート農業技術の活用促進に寄与していきます。
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