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第3回畜産・酪農プラットフォームを開催しました ―現地視察から学ぶ経営判断・飼養管理を支えるデータ活用―

2026年7月14日(火)、スマート農業イノベーション推進会議「第3回 畜産・酪農プラットフォーム」がファームノートデーリィプラットフォーム(北海道中標津町)で開催されました。今回のプラットフォームでは畜舎での取組や設備、データ管理などの視察を通じて学んだ上で、畜産・酪農分野におけるデータ活用の現状と課題、今後求められるスマート農業技術の方向性について、関係者による意見交換を行いました。

北海道の酪農施設の視察

今回は、ファームノートデーリィプラットフォームの視察を実施しました。同社は、IoT・AI技術を活用し、乳牛の健康状態や生産データを可視化・分析することで、飼養管理と牧場運営の最適化を進めています。当日は、畜舎の環境管理やロータリー式搾乳設備の自動化により省力化が図られ、少人数で高い生産性を維持している様子を視察しました。

畜舎視察の様子

ロータリー式搾乳設備

また、畜舎環境を整えるだけでなく、乳牛の性格等を考慮した選別を行うことや、現場課題や各種データをクラウドで一元管理することで、迅速な意思決定と継続的な改善を実現している点も紹介されました。こうした先進的な酪農経営モデルの視察を踏まえ、その後の意見交換では、畜産・酪農経営において、生産現場で得られる多様なデータをどのように収集・分析し、経営判断や飼養管理の改善につなげていくかについて議論が行われました。

経営・マネジメント・現場をつなぐデータ活用の取組を共有

畜産経営におけるデータ活用の先進的な取組として、①経営データ、②マネジメントデータ、③現場業務データの3種類を可視化し、統合的に分析することで、利益を生み出す具体的なアクションにつなげる仕組みが共有されました。
さらに、AIを活用しながら各レイヤーを一気通貫につなぎ、会計・牛群・生産性・業務データを統合分析する「みんなの牧場プロジェクト」の事例も紹介され、データ活用が経営改善に結び付いた実績が示されました。

畜種ごとのデータ活用の現状と重視する指標

意見交換では、養鶏、肉用牛、酪農、養豚の各分野から、経営判断や飼養管理を支えるデータ活用の現状が共有されました。

●養鶏分野

生産サイクルが比較的短く、成績の変化を把握しやすいことから、データ活用が進んでいる。環境情報や飼養成績を日常的に確認し、リアルタイム管理も広がっている。
一方で、増えたデータを管理基準としてどう定着させるか、また投資対効果をどう見える化するかが課題である。

●肉用牛分野

増体や繁殖、枝肉成績などを指標に経営状況を把握する取り組みが進んでいる。日々の記録やICTツールを組み合わせた管理も行われている。
ただし、分析や改善効果の検証は手作業に頼る部分が多く、自動化や予防的な管理には課題が残る。

酪農分野

乳検データや搾乳関連機器のデータを活用し、個体管理や繁殖判断に役立てる取り組みが定着しつつある。
近年は、牛のデータに加え、機械の稼働状況や修理費など周辺データの重要性も認識されている。一方で、こうした情報を経営改善に結び付ける仕組みづくりは今後の課題である。

養豚分野

個体管理システムを活用し、生産成績や生産効率を把握する取り組みが進んでいる。出荷後の成績を生産段階にフィードバックする動きも見られる。
また、AIカメラや体温データの活用など新技術も進展しているが、現場への定着には精度検証や費用対効果の整理が求められる。

畜種横断で見えた共通課題

意見交換を通じて、畜種を超えた共通課題も明らかになりました。

一つは、データ取得の方法に関する課題です。センサーやロボット、個体管理システムによる自動取得が進む一方で、血液検査、現場観察、手書き記録、聞き取りなど、人手に依存する部分も依然として大きいことが共有されました。取得したデータも、システム間で形式が統一されておらず、横断的な分析や高度な活用が難しい状況にあります。

また、異常や事故対応では、迅速な情報共有が重要であり、関係者間で判断基準をそろえることが、経営の再現性向上や人材育成の観点からも必要であるとの意見が出されました。

さらに、新技術や設備投資の導入判断に当たっては、投資対効果が最大の論点であることも確認されました。近年の情勢から考えると、新技術の導入は不可欠である一方、取得したデータは、施設条件や運用体制が整わなければ十分な効果は得られず、データを最大限活用するためには、現場確認や経験との併用が不可欠であることが共有されました。

共通データ基盤の必要性と今後への期待

今後の発展に向けては、経営判断を行う上での重要情報を、正確かつリアルタイムな電子データとして一元管理する必要性が強く示されました。特に治療記録や診療情報については、地域や組織によって電子化の進展に差があり、過去データの確認や必要情報の統合的把握が難しいことが課題として挙げられました。

そのため、生産者だけでなく、獣医師、農業共済、普及員、農協、民間コンサルタントなど、関係者が同じデータを同じ解釈で見られる共通データ基盤の整備が重要であるとの認識が共有されました。加えて、共通フォーマットで公共性の高いデータベースに生産性データを蓄積できれば、経営改善のみならず、各種支援策や政策的支援の効果検証にもつながることが期待されます。

今回のプラットフォームでは、畜産・酪農分野におけるスマート農業技術の活用において、単なる機器導入にとどまらず、データをつなぎ、可視化し、関係者間で共有しながら経営判断に生かしていく視点の重要性が改めて確認されました。
特に、ファームノートデーリィプラットフォームの視察を通じて、現場で得られるデータを飼養管理だけでなく、牛群管理や作業改善、設備運用など経営マネジメント全体に結び付けて活用することの有効性が示されました。

また、個体情報、生産成績、診療履歴、機械稼働情報などを連携できる基盤整備の重要性も共有されました。生産者に加え、獣医師や普及指導機関、農協などの関係者が同じ情報を円滑に確認できる環境を整えることが、迅速な対応や判断の質の向上につながると期待されます。

その他、議論された内容の詳細についてはこちらをご覧ください。

※IPCSAプラットフォームでは、今後もこうした対話の場を通じて、皆様に新たな気づきや成長のきっかけを提供できる活動を展開し、スマート農業技術の活用促進に寄与していきます。

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