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5月のスマ農トピック①―近年話題の「生成AI」を使ってみた!―

農業の現場において、研究資料や補助事業の要領など、「読まなければならないが難しくて長い資料」に直面することはないでしょうか。こうした資料は正確性や網羅性が求められるため、どうしても分量が多くなる傾向にあります。一方で、これらの情報をより現場にとって分かりやすい形で届けていくためには、情報発信の工夫が求められるところですが、多くの情報を一度に理解しやすく伝えることは難しい場合もあります。特に、スマート農業の導入を検討する場面では、新技術の解説や導入事例、支援制度の情報などが多く、内容を把握するだけでも時間と労力がかかります。そのようなときに活用してみていただきたいのが、近年話題の生成AIです。

生成AIとは

生成AIとは、大量のデータをもとに学習し、文章や画像、要約やアイデア提案などを自動で生成できる技術です。人が指示を与えることで、情報整理や説明文の作成などを瞬時に行うことができます。

「読まなければならないが難しくて長い資料」も、生成AIをうまく使えば、

  • マニュアルや要領の要点だけを短時間で把握できる
  • 自分の立場に合わせた説明に変換可能
  • 「新技術を導入するか」、「補助金に応募するか」といった意思決定がスムーズになる
  • ポイント整理や利点・注意点抽出により、実際の作業や経営判断に直結する形で使える

といったメリットがあります。

※生成AIは誤った情報を含む可能性があるため、利用時には注意が必要です。また、生成AIの利用にあたっての注意点等については総務省においても整理されており、本コラムの内容は、総務省から公表されている情報も参考にしながら作成しています。

(参照:総務省HP)
生成AIはじめの一歩~生成AIの入門的な使い方と注意点~ | 安心・安全なインターネット利用ガイド | 総務省

生成AIを使ってみた

今回は、「自分の立場に合わせた説明に変換可能」であることを実感するために、IPCSAのHPに掲載している、スマート農業イノベーション推進会議(IPCSA)の活動内容についての資料を、「①「農業者」、②「研究者」、③「小学生」向けに、300字程度で要約して」と指示を出してみました。すると、以下のような結果となりました。


※Microsoft Copilotを用いて筆者が生成した内容であり、表示内容は筆者環境によるものです。

要約を比較してみると、単に情報を短くするだけでなく、「伝え方」によって理解のしやすさや印象が大きく変わることが実感できます。専門家向けの要約は、重要なポイントが整理されている一方、小学生向けの要約では、内容をかみ砕いて本質がシンプルに表現されており、用途に応じた使い分けの重要性も見えてきました。このように、生成AIは情報を多用な視点で捉えなおすための有効な手段であり、人間の理解を深める補助としても大きな可能性を持っていると感じました。

※生成AIはまず内容の全体像を把握するための手段として活用し、必要に応じて元の資料を確認する使い方が有効です。

農業特化型生成AI

一般的な生成AIの活用が広がる一方で、専門的な分野に関する質問では、必ずしも正確な回答が得られない場合もあることが指摘されています。 

こうした課題に対応するため、農研機構では、農業分野に特化した生成AIの構築に取り組んでいます。この取り組みでは、農研機構がこれまでに蓄積してきた研究成果や栽培技術等を活用し、より精度の高い回答が可能なAIの実現を目指しています。

農業特化型の生成AIが実用化されることで、農業者等が必要な情報に迅速かつ的確にアクセスできるようになり、意思決定や情報提供のさらなる効率化が期待されます。

(出典:農研機構プレスリリース)
(研究成果) 国内初の農業特化型生成AIを開発 | プレスリリース・広報
(お知らせ) 農研機構はNICTと連携し、農業特化型生成AIモデルの構築へ | プレスリリース・広報

さいごに

スマート農業が進展する中で、現場にはこれまで以上に多くのデータや情報が蓄積されるようになりました。たとえば、センサー(温度・湿度など)、ドローン画像、作業記録などです。しかし、それらを十分に活用しきれないという課題も同時に生まれています。そこで選択肢の一つとして考えられるのが、生成AIの活用です。生成AIは、集められたデータや情報を整理し、要点を抽出し、現場で理解しやすい形へと変換する役割を担います。つまり、スマート農業が「データを活用する農業」であるとすれば、生成AIは「データを使える知識に変える技術」と言えるでしょう。両者を組み合わせることで、情報の理解から意思決定までの流れがスムーズになり、農業経営の高度化にもつながることが期待されます。