コラム・関連情報
  1. HOME
  2. コラム・関連情報
  3. コラム一覧
  4. 6月のスマ農トピック②―水田作におけるドローンシェアリング導入事例のご紹介―効率的運用に向けた手引きより(スマート農業技術活用産地支援事業)―

6月のスマ農トピック②―水田作におけるドローンシェアリング導入事例のご紹介―効率的運用に向けた手引きより(スマート農業技術活用産地支援事業)―

農研機構では、スマート農業技術の社会実装を加速することを目的に、「スマート農業技術活用産地支援事業」に取り組んできました。本事業では、スマート農業技術の活用を支援するスマートサポートチームの協力のもと、先進技術の導入に挑戦する産地に対する実地での支援を行ってきました。さらに、その過程で得られた知見をもとに、他地域への展開に役立つ手引き書を作成しています。

今回ご紹介するのは、「これまで勘や経験に頼ってきた栽培を、ドローンを活用したリモートセンシングや適切な資材散布によって見える化し、コスト削減と品質向上につなげたい」という思いからスタートした取組です。ドローンシェアリングシステムの導入を通じて、経営の安定化を目指した事例となっています。

★スマート農業技術活用産地支援事業について
スマート農業技術活用産地支援事業 | スマート農業実証プロジェクト

★スマートサポートチームについて
スマート農業推進協議会 | スマート農業実証プロジェクト

取組の概要

本事例は、三重県津市の「株式会社つじ農園」による技術支援と、伊賀市の「農事組合法人下友生ファーム」による受入・実践からなるものです。伊賀市下友生地区では、

  1.  地域の防除を担う経営体に依頼が集中し、対応しきれない
  2. ドローンセンシングは実施しているものの、収量や品質の向上に十分活かせていない

といった課題がありました。

こうした状況を踏まえ、本取組ではドローンシェアリングシステムの構築と、データ連携型農業の実践体制づくりを進めました。これにより、ドローン運用コストの低減とともに、水稲の品質向上や小麦の収量・品質の改善を目指しました。

手引き書の活用にあたってのポイント

本事業で得られた知見をもとに作成された手引き書は、以下よりご覧いただけます。
スマート農業技術導入手引き書

この手引き書は、水稲や小麦などの土地利用型作物を対象に、ドローンの広域シェアリングやデータ駆動型農業を実践する際の「導入・活用・定着」の流れを整理したものです。

一方で、農業経営の課題や目指す姿は地域や経営体ごとに異なります。そのため、実際の導入にあたっては、それぞれの実情に合わせて柔軟に活用していくことが重要です。

取り上げている技術

手引き書では、主に以下の技術を紹介しています。

  • ドローンシェアリングシステム
    ドローンやオペレーターの効率的な活用・マッチングを行い、運用コスト低減を図る仕組み
  • ドローンセンシング技術
    取得したデータをもとに適切な栽培管理を行うデータ活用型の技術

これらを組み合わせることで、個別導入に比べてコストを抑えつつ、高度な農業経営を実現できる点が大きな特徴です。

(経営体数10件、パイロット(オペレーター)数10人、散布面積100ha、センシング面積2,000ha規模で、ドローンを個別購入する場合に比べてシェアリングを使用することで、導入コストを70%削減、運用コストを36~46%削減できることが示されました。)

本事例を通して伝えたいポイント

いまや、効率的な作業や環境負荷の軽減を実現するうえで、ドローンは重要なツールの一つとなっています。一方で、導入にはいくつかのハードルも存在します。

  • 導入・運用コストの高さ
    ドローンの購入費や維持管理費は決して小さくなく、特に中小規模の農家にとっては大きな負担となります。
  • 運用ノウハウの不足
    ドローンはデータを活用することで真価を発揮しますが、その収集・分析・活用までを一貫して行える体制はまだ十分とはいえません。

これらの課題に対する有効な解決策の一つが「ドローンシェアリング」です。機材やパイロットを複数の農家で共有することで、コスト負担を抑えながら導入が可能になります。さらに、センシング用と散布用のドローンを組み合わせた作業体系を構築することで、データに基づく施肥や防除が実現し、収量・品質の向上や資材削減にもつながります。

実証を受けて

ドローンシェアリングを導入した地域の生産者、パイロット、県内の地域普及センターの関係者からは、ドローンシェアリングを導入することで、散布作業の省力化が進んだこと、薬剤散布において適期作業ができたことに高い評価がありました。またこの実証期間を通じて、関係者との協力の中でシステムの課題や展望への理解が深まり、地元JAとの連携や周辺地域への情報発信など、農業に関連するプレーヤーの連携が促進されたとの声がありました。また、現在では、より広い連携体でのシェアリング事業と、地域JAによるその支援が検討されるといった、新たな広がりの兆しが見えてきているとのことです。



本事例が、現場でスマート農業に取り組む皆さまのヒントになれば幸いです。
また、今後も「スマート農業技術活用産地支援事業」におけるさまざまな取組を紹介していきますので、ぜひご期待ください。