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研究開発型農業カンパニー あさい農園が行うスマート農業技術を活用したミニトマト栽培<後編>

9月30日に開催されたIPCSA(スマート農業イノベーション推進会議)設立準備会合で講演いただいた浅井さんにお話を伺うため、三重県で環境制御技術を活用したミニトマト栽培を行う(株)あさい農園、(株)アグリッドを訪問しました。

スマート農業技術を活用したトマト栽培の取組や、今後活動が本格化するIPCSAへの期待などを伺いました。

※第1部 あさい農園本社については「研究開発型農業カンパニー あさい農園が行うスマート農業技術を活用したミニトマト栽培<前編>」をご覧ください。

第2部 アグリッド

アグリッドは、あさい農園とデンソー(自動車部品メーカー)の共同出資で設立した会社で、あさい農園グループの他の施設と同じく、ミニトマトの養液栽培を行っています。
ハウス環境や養液潅水のシステムなどを用いて環境の最適化を行っているほか、自動搬送ロボット・自動収穫ロボットの実証を行っています。
先ほど本社で浅井さんに伺った考え方が実践されている現場を見学しました。

自動搬送ロボット

<浅井さん>
AGV(Automatic Guided Vehicle)は、収穫したトマトを自動で運ぶことができ、アグリッドでは現在7台稼働しています。アグリッドのハウスは、256メートル×164メートルの4.2ヘクタールあり、遠い距離を往復して運ぶ作業が人手である必要はありません。とはいえ、AGVも安いものではないので、スマート農業技術の導入の際も、常に目的と効果を考えています。

AGV本体

AGVは、床面に設置した二次元コードで位置を認識し、障害物センサーで障害物を感知しながら自動走行しています。1台で400キロ~500キロのトマトを運ぶことができ、取材中もロボットが行き来していました。

データ利活用

<浅井さん>
春夏には週15000ジュールの光量がありますが、冬になると週6000~7000ジュールになってしまうので、葉の枚数やつける実の量を調整して、苗をよい状態に保たなければなりません。アグリッドでも先ほど紹介したソフトウェアを使い、各施設のグロワーがデータを見ながら判断しています。

施設内には、データ分析のソフトウェアをみながらディスカッションするグロワーや従業員の姿もありました。
続いて、格納庫に移動し、アグリッド圃場長の下引地さんから、デンソーと連携して実証中の自動収穫ロボットについて解説をいただきました。

自動収穫ロボット

<下引地さん>
房と熟度検出用のカメラと、果柄検出用カメラで房の位置などをAIにより正確に識別。収穫するトマトの果柄を把持しながら切断します。収穫箱がいっぱいになると、自動で空箱と交換してくれます。交換後は自動で元の場所に戻り収穫作業を再開。交換式バッテリーを採用しており、1回の充電で約5時間稼働。バッテリー交換すれば昼夜問わず連続稼働できます。単なる収穫ロボットではなく、作業全て自動で行う全自動収穫ロボットです。

実証中の自動収穫ロボット

最小のインプットから最大のアウトプットを︕

浅井さん アグリッドでは、排出されるCO2からNOX・SOXを取り除いて、排気ガスを再びハウスに取り込む実証試験を行っています。これによって、排気ガスの熱も取り込むこともできます。養液栽培で出る廃液も、捨てるのではなくリサイクルして使います。

スマート農業は、単一の技術を使って完成するものではなく、技術を組み合わせて使うものです。排気ガスを利用するためにNOX・SOXを除去する技術を使う、養液をリサイクルするために紫外線殺菌する、というように、複数の技術の組合せなので、終わりはなく、常に改善に向けて進んでいきます。最小のインプットから最大のアウトプットを得ることを地道に続けなければいけません。

スマート農業を使いこなすには、常に変化して答えがない中で、課題を見つけ、解決策を考えることが重要です。研究開発型農業カンパニー・あさい農園グループでは、課題解決に向けて研究を楽しめる、農業者であって研究者・科学者でもあるアグロノミスト集団を目指しています。

常に進化を見据え、課題解決に向けてチャレンジを続けるあさい農園グループの経営について、熱く語っていただきました。スマート農業を推進する農林水産省職員として、特に「スマート農業は手段」、「最適化のためにデータが不可欠」、「連携によって生まれるイノベーション」という考え方が印象に残っています。これらの考え方を、今後のIPCSAの活動にも生かしていきたいと考えています。
お忙しい合間を縫って取材をお受けいただいた浅井社長、あさい農園とアグリッドの皆様、ありがとうございました。

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研究開発型農業カンパニー あさい農園が行うスマート農業技術を活用したミニトマト栽培<前編>