5月のスマ農トピック②―乾田直播に挑戦!~アグリサービス小林vol.1~―
農研機構では、栽培体系の転換とスマート農業技術の導入をセットで行う農業者を都道府県等と協力して支援し、そのモデル的な営農を全国に横展開していく取り組みを実施しています。
本コラムで紹介するのは、令和8年度作から乾田直播を導入した有限会社アグリサービス小林さん(以下、小林さん)での取り組みです。
乾田直播に挑戦しようと思ったきっかけは?
小林さんは、栃木県高根沢町で水稲とにんじんを栽培しています。親子2人で約35 haを経営していますが、農地管理の依頼が年々増加しており、今までどおりの経営体制では規模拡大が難しいと感じられていました。
乾田直播は、省力化や作期分散による労働力の軽減を見込めるものの、雑草防除や水管理など移植栽培とは異なる難しさがあります。その中で挑戦の後押しとなったのが、農業革新支援専門員や普及指導員、農研機構(本部及び中日本農業研究センター)のサポートです。伴走型の支援の下、乾田直播に挑戦する様子をIPCSAのコラムでお届けします!
ほ場の準備~播種・鎮圧
まず、2~3月にかけて耕起、砕土・整地、均平作業を行いました。ほ場に高低差が無ければ、入水後の雑草管理が容易になります。また、安定した発芽・苗立ちのためにもほ場作りは重要です。「片足のかかとに全体重をかけて、沈下量5 cm程度」を目安に固めに整えつつ、表面土壌の砕土率(2cm以下の土塊の割合)は70%程度を確保します。
播種・鎮圧は4/15に実施し、見学会も開催しました。生産者を中心に120名以上の方が集まる大盛況です。播種作業はスガノ農機さんのご協力のもと実施し、47aあたり約31分で完了しました。
播種後の鎮圧も重要です。ほ場の漏水を防ぎ、種子と土壌の密着にも役立ちます。小林さんのほ場は固めに整地できており水分量も少なかったため、縦方向に1回のみ行いました。鎮圧作業は小林さんが実施。47aあたり約29分で完了し、播種・鎮圧作業にかかった時間はトータル約1時間でした。
★播種見学会の詳細はこちら
稲出芽前の雑草防除
稲出芽前の雑草防除では、「乾田直播出芽予測お知らせLINE」を使用しました。最寄りのアメダス観測地と播種日を入力すると、出芽予測日と非選択性除草剤の散布適期の目安をお知らせしてくれるアプリです。アプリの情報をもとに解析し、播種の1週間後を散布日に設定しました。
非選択性除草剤の散布は、栃木スカイテックさんと日産化学さんの協力の下、ドローンでの極少量散布を実施しました。散布ムラや周辺ほ場へのドリフトを防ぐため、風のない環境で行うことがポイントです。今回は朝8:00に散布を開始し、風速は約1m/sでした。10aあたり5Lの極少量散布のため溶液補充が4回で済み、47aの散布にかかった時間は約33分です。
また、散布には開発中の専用ノズルを提供いただきました。粘度の高い薬剤も綺麗な扇形を描いて均一に散布されています。17日後には十分な効果が確認できました。
★乾田直播の雑草管理に使えるアプリの詳細はこちら
稲出芽後の雑草防除
稲出芽後の散布では、「ノビエ葉齢判定アプリ」を使用しました。ノビエの個体を撮影することで葉齢を自動判定し、さらに今後2.5葉期、3.5葉期および4.5葉期に到達する時期を予測してくれます。アプリの情報をもとに、普及指導員がほ場の状態と照らし合わせて解析し、選択性茎葉処理剤の散布日を決定しました。
ほ場の状態は直接確認に行くだけでなく、小林さん↔普及指導員↔農研機構 で写真や動画を共有しあう簡易版遠隔営農支援スタイルで連携しています。

次は水管理&畦畔除草
入水後の浅水管理と薬剤散布、畦畔除草については、6/30(火)にセミナーを開催します。小林さんのほ場で、生育状況と省力化技術の実演を見学できますので是非ご参加ください。IPCSAコラムでも詳細をお届けしますので、お楽しみに!