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【生産】認定事例vol.19―自動収穫ロボットによる収穫作業の省力化で収益性アップ―

生産方式革新実施計画の認定事例

株式会社トクイテン(愛知県知多市)

株式会社トクイテンは愛知県知多市で有機ミニトマトの生産・販売を行っている農業法人です。令和7年8月、「生産方式革新実施計画」の認定を取得し、テクノロジー×有機農業を組み合わせ、自社開発の自動収穫ロボットを用いた収穫など、スマート農業技術を活用した先進的な農業を行っています。背景には共同創業者で代表取締役である豊吉氏のIT分野での起業経験や、取締役の森氏のロボット開発の知見が大きく関わっています。本コラムでは株式会社トクイテンの取組から、異分野からの農業への挑戦や、テクノロジーを活用した新たな農業の姿について探っていきます。

Q1.農業を始めようと思ったきっかけを教えてください。

私(豊吉氏)は岐阜県出身で、岐阜工業高等専門学校を卒業後、IT分野で起業し、クラウド請求書サービスMisocaを20万事業者以上が利用するサービスに育てました。その後、オリックスグループへ事業を売却し、代表を退任しました。

次に何をやるかを考えていたとき、知人を通じてJA職員の方から観葉植物の栽培施設の水やりを遠隔化できないかと相談を受けました。実費だけでスマートフォンから操作できる灌水システムを作ったところ大変喜んでもらえたのですが、同時に農業のIT化がここまで進んでいないのかと驚きました。

その経験から農業に興味を持ち、愛知県立農業大学校の農業者育成支援研修で1年間農業を学ぶ中で、有機農業の拡大と農業の効率化は何年かけてでも取り組むべき課題だと確信し、2021年8月に株式会社トクイテンを設立しました。

株式会社トクイテン 共同創業者・代表取締役 豊吉 隆一郎氏

Q2.株式会社トクイテンの取組について教えてください。

愛知県知多市にある約2,000㎡の有機JAS認証農場で、有機ミニトマトの生産から販売まで一貫して手がけています。有機農業を選んだのは、現在の農業が原料を輸入に頼る化学肥料に依存しており、持続可能とは言えないと考えたからです。一方で、有機農業は手間がかかることが普及の大きな壁になっています。そこで、最も人手のかかる収穫作業をロボットで自動化し、有機農業でも十分な収益性を実現できる仕組みをつくろうとしています。

ミニトマトを選んだのは、果菜類の中でも市場規模が大きく、粒が小さく数が多いためロボット収穫との相性が良いことが理由です。農場では、自社開発の吸引式自動収穫ロボットによる収穫のほか、センサーを活用した灌水やCO₂濃度の自動制御など、データに基づく栽培管理を行っています。また、自社農場での実証にとどまらず、農業への新規参入を検討する企業様への支援サービスなどを通じて、持続可能な農業の実現を目指しています。

有機JAS認証農場

Q3.「生産方式革新実施計画」の認定を取得したきっかけを教えてください。

認定された生産方式革新実施計画の概要

本計画を知ったきっかけは、東海農政局の方が弊社農場へ視察に来られた際にご紹介いただいたことです。今後の事業拡大を見据え、補助事業における優遇措置や日本政策金融公庫からの低利融資を活用できる点に魅力を感じ、計画を申請することに決めました。東海農政局のご助言をいただきながら準備を進め、令和7年8月に認定を取得いたしました。

Q4.自動収穫ロボットについて教えてください。

自動収穫ロボットは、カメラで撮影した映像からAIがミニトマトの位置と熟し具合を判定し、収穫に適した果実だけを吸引して自動で収穫します。ヘタから実が離れやすい品種の特性を活かし、弱い吸引力でも果実を傷つけずに収穫できる仕組みで、この技術は特許を取得しています。畝の間にはレールを敷き、通路と通路の間は全方向に動ける台車で移動することで、ロボットが農場全体を自動で巡回しながら収穫できる体制を整えました。

2026年4月には、1台のロボットが5つの通路を巡回し、1日約30kgの自動収穫を達成しています。開発にあたって苦労しているのは、トマトは一つ一つ形や大きさが異なるため、収穫がうまくいかないときにその原因を特定することが難しい点です。認識の問題なのか、動作の問題なのか、一つずつ切り分けながら週2回のペースで農場でのテストと改善を繰り返しています。

当初はロボット収穫で果実に傷がつくこともありましたが、改良を重ねた結果、現在ではロボットが収穫したトマトも通常どおり出荷しており、お客様からのクレームは一度もありません。また、市場流通だとヘタ付きのミニトマトが求められますが、これまでの販売を通じて、ヘタの有無を消費者はあまり気にしないこともわかってきました。消費者のニーズを踏まえ、市場が求める規格自体を見直すことで、開発のハードルも下がっていくと思います。

自社で開発したミニトマトの自動収穫ロボット

Q5.今後の展望について教えてください。

現在、農林水産省のSBIRフェーズ3基金事業(中小企業イノベーション創出推進事業)に採択され、1ha規模のグリーンハウスの建設を進めています。この新農場では、カーボンニュートラルの達成と、収穫作業の50%自動化を目指しています。

現在のロボットは1日約30kgの収穫を実現しており、将来的には24時間の連続稼働により、人手に頼らない収穫体制の構築も視野に入れています。また、自社農場での実証にとどまらず、農業への新規参入を検討する企業様への支援サービスや、耕作放棄地の解消に向けた地方創生プロジェクトにも取り組んでいます。

今後も自社農場での生産・技術開発にとどまらず、さまざまな角度から農業の課題解決に取り組み、持続可能な農業の実現を目指していきます。