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【開発】認定事例vol.08―レタス収穫機の改良と運搬台車等の開発・供給で、レタスのスマート生産体系を確立―

開発供給実施計画の認定事例

株式会社デリカ(長野県松本市)
――収穫ロスを最小化するレタス収穫機と、その運用を効率化する大型コンテナを搭載する運搬台車の開発・供給――

株式会社デリカは、1953年の設立以来、長野県松本市において農業機械の作業機やトラクター用3点リンク(※)の製造・販売を行ってきました。弊社は「有機農業と、未来へ。」をテーマに、有機農業を応援する作業機を中心に開発・市場投入を続けています。
(※)トラクター後部に作業機を取り付けるための機構のこと。ロータリー、畝立て機等のアタッチメントの取り付けに必要。

今回、弊社のレタス収穫機をより多くの生産者に使っていただくため、機械収穫を軸とする省力・高効率な生産体系の確立を目指し、開発供給実施計画の認定を取得しました。
※開発供給実施計画の詳細については、「3月のスマ農トピック②―スマート農業技術活用促進法とは?── 国の計画認定制度を解説!―」をご参照ください。

(株式会社デリカ外観と、販売している機械等)

Q1.認定を受けて開発を行う技術について教えてください。

今回の計画では、弊社が開発したレタス収穫機の改良に加え、「周辺技術や栽培体系」を一体としたスマート生産方式を構築します。具体的には、加工・業務用レタスにターゲットを絞り、以下3つの技術を組み合わせた生産体系を確立することで、機械収穫を軸とする省力・高効率なスマート生産体系の確立を目指します。

①データ連動による最適化:収穫機にRTK-GNSSを用いた「走行・収穫データ収集機能」を付与。生産管理システムと連動させることで、運行条件・収穫計画の最適化や、加工場等の実需者への迅速な情報提供を実現。

②機械・栽培技術の最適化:機械収穫に適した品種の選定の他、生育の斉一性(そろい)を向上させる技術(ドローン可変施肥、作畝・定植に関する技術)を高度化し、作業オペレーションを最適化。

③加工・業務用出荷体系への転換:大型マキシコンテナ※を搭載し、切り出されたレタスを効率よくコンテナに収納する「コンベア付き運搬台車」を開発。

※収穫物の運搬・保管に使用する大型コンテナ

Q2.開発する機械で、どのくらい作業負担を軽減できるのでしょうか?

実証を行う生産法人の手作業による慣行体系と比較して、大幅な省力化効果が見込まれています。  

*切断作業を従来の1/20に短縮
従来の人手による切断作業(4名体制)では、10a(約8,500球)当たり18時間を要し、作業能力は1球当たり7.6秒でした(生産者測定データ)。本計画で開発・改良を進める収穫機は1球当たり0.38秒(人手による切断作業時間の1/20)での稼働を目指しており、1名体制への省人化に加え、作業時間の大幅な短縮ができます(開発機関実績)。  

*運搬・搬出作業を従来の1/4に短縮
これまでは3名体制で、箱詰めしたレタスを手作業でトラックに積載しており、10a当たり4時間を要していました(生産者測定データ)。本計画では、新開発の「専用コンベア付き運搬台車」に大型マキシコンテナを搭載してレタスを効率的に箱詰めし、フォークリフト機能付きトラクターでトラックに積載します。これにより2名体制への省人化に加え、作業時間を10a当たり1時間(従来の運搬・搬出作業の1/4)に短縮できます。  

これら一連のスマート収穫作業体系を構築・導入することで、従来は10a当たり合計34時間(実証法人調べでは33時間)かかっていた収穫作業時間を、一気に6時間へ削減することを目指します。
今回の技術開発では省人化も目指しているため、投下労働時間はさらに短縮されます。切断作業時間は従来の1/80(4名体制⇒1名体制になるため)、運搬・搬出作業は1/6(3名体制⇒2名体制になるため)となることを目指します。

Q3.開発のきっかけは?

本課題のベースとなるレタス収穫機は、2016〜2018年の「革新的技術開発・緊急展開事業」で基礎型機が開発され、その後、長野県の「スマート農業機械社会実装加速化支援事業」の支援を経て2024年に試行販売に至りました。

しかし、収穫機単体で切断効率が一気に向上しても、前後の栽培管理や運搬体系が手作業のままであったため、レタス生産全体としてのトータルな工数削減(大きな効率化)に繋がりにくいという課題がありました。

この状況を打開するため、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)に既存機による取組を視察いただいたことを機に、周辺のスマート農業技術を全方位から取り入れた「効率的な作業体系」を一体として構築すべく、計画を立案しました。  

Q4.他の事業者、研究機関との協力体制について、教えてください

今回の開発・検証は、以下の専門機関が一体となった「レタス収穫スマート化研究コンソーシアム」を構成して進めています。  

*農研機構(代表機関):全体の進捗管理、生育予測WAGRI-APIの高度化、レタス収穫適期及び収量予測精度の向上。

*長野県野菜花き試験場:機械収穫に適した適性品種の選定。

*有限会社トップリバー(生産者):現地実証試験栽培の実施、作業性評価、収穫適期予測システムの改良やオペレーション最適化の提案。

*株式会社デリカ(メーカー):レタス収穫機の改良、専用コンベア付き運搬台車の開発、及びオペレーションサポート。

栽培手順、品種選定、施肥、機械改良、運搬まで、すべての角度から機械化の効果を最大限に発揮させるための検証が可能な体制となっています。  

(従来のレタス収穫の様子と、収穫機を導入した後の作業の様子)

Q5.今後の展望をお聞かせください!

現在すでにベースとなる収穫機は試行販売を行っていますが、生産管理システムと連携し、最適化された人員配置やオペレーションで行う「次世代のレタス収穫スマート生産体系」については、本計画での現地実証を経て、2028年からの本格的な販売・供給に繋げていく予定です。まずは、夏秋レタスの大産地である長野県や、同様の生産形態をとる地域に向け、本課題の成果をアピールしていきます。

データによると、レタス生産者の所得は5ha以上の規模で増加傾向にあり、また本研究は出荷量全体の56%を占める「加工・業務用レタス」において最も高い効果を発揮します。ターゲットを明確に絞り込み、産地での展示会や実演会を通じて本成果をアピールすることで、担い手不足に悩む全国のレタス産地の課題解決に大きく寄与したいと考えています。


◆ 謝辞
本研究課題は、農林水産省「スマート生産方式SOP(スマート農業技術導入・運用手順書)作成研究)(課題番号:野8C1、課題名:レタスにおける収穫機導入を核とした加工業務用出荷対応型作業体系と作業管理の最適化による労働生産性の向上)」(事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)の支援により実施いたします。
収穫機の社会実装を力強く後押ししてくださった長野県の関係者の皆様、並びに現場での実証試験に多大なご協力をいただいている有限会社トップリバーの皆様、そして先進的なスマート農業技術の社会実装に向けて多大なご指導・ご助言をいただいている農研機構の皆様に、心より深く感謝申し上げます。